2017.03.21

キスも、彼氏も、初めてだった:よろず女子百景(19)


恋のいろいろは一気に訪れる……!?

キスも、彼氏も、初めてだった

いつか、じぶんにも彼氏ができるのだろうか?
そしていつか、その彼氏と初めてのキスをしたりなんてことも?

そんなことを、まだ遠い未来のことのようにぼんやりと夢見ながらスタートした大学生活。サークルで出会った一つ年上の先輩男子に、いつしか好意を抱くようになっていた。

写真や映画が好きな、いわゆるサブカル男子な先輩は、ほんわかと落ち着いていて、サークル活動に熱中している姿がカッコ良くて。会話を交わすのはいつだって楽しかった。

そしてある日、彼のひとり暮らしの家へ遊びに行って、一緒に晩ごはんを作って食べることに!

私としては、家に招いてくれる時点で「もしかして彼も私のことを少しは……?」なんてウキウキと期待してしまっていたのだけれど(笑)、スーパーで一緒に買物をして、二人でキッチンに立って、いざ料理スタート♪
カジキマグロの煮付けは母の手料理の中で私が大好きなメニュー。それを、途中母に電話して作り方を教えてもらいながら、なんとか作り上げて、一緒においしく食べて……。

それから夜遅くまで、こたつで向かい合っていろいろ話した。どれだけ、何を話しても、彼とは波長が合ったし、全然無理をしなくていいじぶんのままでいられたから不思議。

笑うと目がクシュッとなって、口の端にえくぼみたいに盛り上がりがぷくっとできる彼。それが可愛らしくて、彼とずっと、いつも一緒にいられたら……! そう思って好きな気持ちを確信した頃には夜も更けて、その日は泊めてもらうことに。

彼は、自分のベッドの他に、私のために布団を敷き始めてくれたのだけれど、「一緒に寝よう?」と私は思い切って言ってみた(!)。「ただ、隣で眠るだけでいいから」と。

あの頃、なんだか憧れていたのだ。いきなり”経験”するのは怖いけど、ただただ、好きな彼の腕にギュッと抱きついて眠りたい、って。そして彼ならそれを受け入れてくれるんじゃないか……そんな予感のようなものがあった。

彼は「え!?」と驚いて、でも、思った通りに私を一緒のベッドで眠らせてくれた。

翌朝、目が覚めて彼の腕にそっと抱きついてみた。すると彼も目を覚まして私の方に向き直って、「好きになっちゃった」と言ってキスをした。ひと晩一緒に眠っただけで!? と急展開にビックリしたけれど、ああついに、私もキスしちゃったよーと心の中はキャーキャー。

彼が私の好意を受け止め返してくれた朝、私の恋はちゃんと始まった。
「いつか……?」と思っていた初めての”彼氏”ができて、それと同時に、”初めてのキス”をした春の朝のことだった。(大島智衣/脚本家、エッセイ・コラムニスト)

(ハウコレ編集部)

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