2017.02.14

彼の嬉しいひと言でこんなにも女の子らしくなれる:よろず女子百景(14)


ほんの少しのきっかけで女子ゴコロは発動する。

彼の嬉しいひと言でこんなにも女の子らしくなれる

それまではただのやんちゃな年下男子だった。あの日、彼のあの言葉を聞くまでは……。

ある日、職場仲間との飲み会で。みんなそれぞれに仕事のグチや悩みをこぼし合っている中、私も仕事をきちんとこなせているか不安を打ち明けたら、同僚の年下男子が口を開いた。

「いや、でもおーしまさんの接客って完ペキじゃないですか!」

いつもはふざけてばかりの彼が、サラッと真面目なトーンでそう言ったのだった。私の目を真っ直ぐに見つめて。

ちょ、ちょっと待って! なにその急なフォロー!!!

一瞬ドキッとして戸惑ったけど、なんだか無性に嬉しかった。
ちゃんとこの子、私の仕事ぶりを見ててくれてたんだ!? と。

それと同時になんだか全然、動悸がおさまらない! 

これまで先輩として張り詰めて接してきたのに、ふいに認められたことで途端に彼を、”後輩”ではなく”異性”として意識し始めてしまったのだ。

……どうしてくれよう? おかげで調子が狂ってしまったじゃないか。

いや、でもきっとアレだ。産まれたての動物が初めて目にしたものを母親と思うように、長いこと承認欲求を満たされてこなかった“恋とは無縁な女子”が、初めてじぶんを認めてくれた男子にコロッと心を許してしまう……アレだ!

こんなの恋じゃない! ただの一時的な気の迷い!

そう思えば思うほど、いや、でも実は頼りになるし、性根はイイ子だし。年下男子も悪くないかも?

なんて、気づくと日に日に彼に会いたくなって。
シフトが同じになる日を待ち望んでは、姿が見えればテンションが上がり。
彼と話す機会があれば、一秒でも長く! ひと言でも多く! 話していたくって。

「おーしまさんって女子としても完ペキじゃないですか!」

彼にそう言われるためにはどうしたらいい? メイク? 服装? 笑顔と気遣い?
……そんなことで頭がぐるぐる。

そして何より彼に女の子っぽく素直に甘えたい!

そう、もうすっかり好きになってしまっていた。
あの日、彼のひと言で魔法にかかってしまったのだ。

一人の男の子にちょっと嬉しいことを言われただけで、こんなにも女子って女の子らしく乙女ゴコロが変化するなんて!

彼との恋が始まることを心から願った。
私の気持ちを溶かした彼の魔法が解けないうちに、早く。(大島智衣/脚本家、エッセイ・コラムニスト)

(ハウコレ編集部)

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